『アウトレイジ ビヨンド』

ボクとM先輩の、月例『ボンクラシネマファイトクラブ』も、それなりの歴史を刻んできた。
今日はライターのA氏をゲストに、北野印のヤクザ映画『アウトレイジ ビヨンド』。

数年前の快作『アウトレイジ』の続編だが、前作以上に小気味いい。

それはなぜか。抗争が「なんだバカヤロウ!なんだコノヤロウ!」の応酬で始まり、
その「回答」が……「射殺」だからだ。今回、あまりにもそれがハッキリしている。

北野映画は「生の暴力」も一種のアイコンだったと思うが、
今回はその要素が少ない。「罵り合い」の次は、いきなり「殺す」のだ。

M先輩がうまいことを言っていたが、この映画では
ボケに対するツッコミが「殺す」なのである。

しかも、カタギの人間が一人も登場しないので、ファンタジーですらある。
これはまさに、時代のニーズをガッチリ捉えたとは言えまいか。

現実社会は、言いたいことも言えない世の中である。
下手すれば、敗戦後一番ぐらい息苦しい時代ではないのか。
ちょっとアレすれば大問題、
バカを罵れば、罵ったほうが罪になるような時代。
それが、今だ。

そんな中、スクリーンの中とはいえ、イケメン皆無、
クセメンのジジイどもが、「バカヤロウ!コノヤロウ!ブッ殺すぞテメェ!」と
言って……本当に殺す。残虐というより、殺しすぎで何だかコントのようであり、
一本道なストーリーにも入りやすく、結果、めちゃくちゃスカーッとするのである。
 

70年代東映ヤクザ映画を偏愛する身としては……
こういう映画が「映画館で受け入れられる時代」というのは、
「社会不安がある時代」なのだと思っている。

そういうフラストレーションを解消するニーズを、
ガッチリと「劇場公開のヤクザ映画とそのキャラたち」は絡めとる。

にしても、今の世の中でそれを堂々と「劇場公開映画」でやれるのは、
もう世界のキタノぐらいであり(本家東映にだってやれない)
そのあまりにも日本的にすぎる激しいヤクザ世界は、かえって新鮮だ。
  

週末興行成績では初登場首位か!
……けど、何となく解る。非現実というより「スッキリ」する。そういうヤクザ映画だ。
だからある意味、往年の東映作品以来の伝統に則っているが、
それでいてエロシーンがなくて北野映画ともなれば、女性客だって入れる。

お客にははガイジンさんが多かったすね。
こういう世界(しかも特殊な日本語の応酬)、理解できたかなぁ?
「北野マニアの欧米人が日本に来て、コメディアン・たけしを観るとショックで寝込む」
みたいなジョークを聞いたことがあるがw
 

加瀬亮の経済ヤクザ、西田敏行のベッタベタ関西ヤクザの「過剰演技」も見逃せないが、
真の主人公は、悪徳警官の小日向文世かもしれない。
もちろん、老けてなお不気味さと存在感が際立ってきた、たけし氏本人の演技にも、注目である。
 

気に食わねぇ奴は問答無用で射殺してスッキリ。
これもエンターテインメントのある種の形なのだ。
実際には出来ないことであるがゆえ、に。

 

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