映画狂の詩

映画鑑賞というのは決して「本数勝負」ではござりません。
「年に365本観た?……あんた、ヒマなんだなぁ」てなもんでございます。

しかしですね、映画好きというのは、一度「ゾーン」に入ってしまうと、
結構集中的に観たり致しまして。この土日がそうでした。
5本見ました。我ながら久々です。ていうかそういうことするな、俺。

なので感想を書いてネタにするやっつけ仕事です。
今は流石にやってませんが、中高……大学出るまでかなぁ。
映画の感想ノートというのは書きつけてましたね。これをデスノートと言いますね。
怖い、怖い、怖いですね。あとでまた会いましょうね。サイナラ、サイナラ。
そんな感じです。
  

・内藤誠レトロスペクティブ1
『不良番長 送り狼』
大学時代に作品指導を受けた我が師匠・内藤誠監督のレトロスペクティブが始まりました。
多分、初だと思いますね。

2週間、ある事情で封印作品になった以外の劇場映画ほぼ全てがかかるので、
できる限り観ておこうと思っています。

あの頃(昭和30~40年代)の東映映画ってのは、
作ってる作品はどんなにウンコチンチン、
セックスドラッグバイオレンスであっても、
東大京大早慶出た人が、そういうバカな作品を作っていたワケで。

その「基礎学力の差」というのは、どんなしょーもない作品からでも、
やはりにじみ出てくるもので、『不良番長シリーズ』も、
東大出の興行師であり稀代の惹句師、岡田茂・東映社長の音頭の下
(ロジャー・コーマン『地獄の天使』の日本版を作れという司令)、京大卒・野田幸男と
早大卒・内藤誠が、真剣にプログラム・ピクチャーに向き合った成果だったワケです。

内藤監督が初めて手がけたのは、その不良番長4作目『送り狼』。
ここから梅宮辰夫(今月公開の25年ぶり新作にも出演)との友情も始まっております。
まぁ……不良番長シリーズでお察しの通り、バカ映画の範疇です。

でも、ベタベタに仕掛けてくる「笑いを取ったれ」演出と、それを更に倍加させる
東映城のコメディリリーフ・山城新伍の無軌道さ、
小ネタを積み重ねて、ひとつの話にしっかりつなげていく感じ、とかは、
今の映画(邦画)では、まずありえないことです。

この映画の上映前に、杉作J太郎氏と内藤監督のトークショーがあったんですが、
「とにかく俺は笑わせてやろうと思ってたよ」と話す内藤監督には、
与えられた東映ミッションをきちんとこなした、誇りが感じられました。
  
 

・レトロスペクティブ2
『地獄の天使 赤い爆音』

ヨーコがヨコスカに行くという、どっかで聞いたような不良少女モノですが、宇崎竜童は無関係です。
しるに、とにかくこのジャンルはもう日活か東映かしかない中で、
しかも低予算なので脱げる新人を発掘して、それでなんとかやったるしかない、という心意気が、
制作必須条件だった「内藤やす子も歌わせながら使う」まで踏まえて、キッチリ成り立っているという、
一種の奇跡みたいな映画でしたよ。舘ひろしもイイ感じ。

「貧しくても若い体力のうちに、ちゃんとしたプログラム・ピクチュアを作りたい」
(「シナリオ」昭和52年10月号)と思っていた内藤監督が、
名脚本家・田中陽造の(そういう人がこういうバカなものを書いていた事実を
楽しんでくれとは、監督談)ホンを得て、キリッと仕立てたハードボイルドなのでした。

「カッコイイ」としか言えないですね。甘ったるくないんですよね。
 
 

・レトロスペクティブ3
『スタア』
これはなんともお祭り映画。フリーになった内藤監督が、
多士済々な交友関係の一人である筒井康隆によって、その原作・脚本による、
ワンルームシチュエーションコメディを監督した作品でありまして。

当時の「ゴールデン街系芸能人文化人」が総出演して、
セットのマンション内で展開される、筒井節のアホ・悪ノリの大騒ぎ。

ゴシップまみれの芸能人夫婦が、取り巻きのマネージャーや
芸能記者、その他もろもろと繰り広げる、ホームパーティーでの
殺人やSFも絡めた嘘八百物語。

地震ネタと「キチガイ」セリフの多さで、ソフト化は絶対無理でしょうが、
どう考えても文士劇の自主映画版にしかなりえないようなこの映画を、
筒井御大が自ら撮らないで内藤監督に投げたことで、
奇跡的に「メンツが異常に豪華な作品」として成立させています。

全員がクドい芝居しかしていないため、かなり演出する方はキツかった感じはしますが、
それがかえって、コメディーらしくていいやな、という感じもしますよ。
当然、役者としても怪演している、この時代の筒井御大(25年前)は、
シチュエーションコメディというジャンルからしても、相当に今の三谷幸喜とダブります、実は。
三谷サンも、自分で撮らないで職人監督に任せればいいのに……ゴニョゴニョ
 
 

・ロードショー中
『ミッション:8ミニッツ』
これは新作洋画です。実はノーマークでしたが、信頼を置く友人から
「これはいいらしい」と聞きまして鑑賞。

これが……まさに大当たりで!
斬新奇抜なSFアイディアの発想力、それをホンにする構成力、
的確な演出力、かつ小生の好きな短尺!

全てにおいて「アメージングな映画」や! と思いました。
スター不在、なのに、アイディアひとつで一点突破し、
しかもそれを緻密に組み上げながらラストに向かう感じは、
本当に「映画的快感」に満ち溢れていましたね。

ハッキリ言って、CG依存症だった『カウボーイVSエイリアン』の
十倍はイケてると思います。洋画にはたまに、こういうのが出てきますよ。
自分にとっては『シモーヌ』とか『ハート・ロッカー』がそうだったんですが、
何かしら「忘れられない」映画です。

ぜひご覧あれ。監督のダンカン・ジョーンズは商業作品2作目ですが、
恐ろしい才能の持ち主だな、という感じです。
しかもデビッド・ボウイの息子なんだそうですんで、
久々に「すごい二世」が出てきたもんだとも思います。
 
 

・ロードショー中
『ザ・ローリング・ストーンズ:Some Girls Live in Texas ’78』
ストーンズ78年のライヴを撮っていたフィルムが発掘され、それで作った1本。
ですので最近だと『This is IT』や『ソウル・パワー』の系譜にあると思います。

もっとも、作りは甘くて、なかなかライヴシークエンスに行かず、
頭20分ぐらい延々とミック・ジャガーのインタビューが続くのには
正直ヘキエキしますが(しかも字幕誤植多し)、
いざライヴシーンに来て、オドロキました。

だって素材は’78の映像、ですよ。ウチの弟が生まれた年だ。
てことは(このライブに来てる)客層は、我が両親世代(当時の結婚は早かった)と
いうことになるんですが、あまりに雑感映像が古びてなくて、色調もよく、
一瞬「これ、今撮った再現?」と思ってしまったぐらいです。

もちろんストーンズの姿も音も、クッキリしていまして、
あたかも今年のライブか何かみたいで……
これは、「16ミリフィルムで素材を撮っていた」ことが幸いしているんですなぁ。

例え16ミリでも、素材がフィルムなら、HDリマスターに際して、かなり
補完ができるんですね。フィルムは実は潜在的に情報量があるんで。
ところが、「ビデオ収録」だとこれができないワケです。
多くのコンテンツホルダーが、今「HDリマスター版」で再販商売ができない
ビデオ原盤で頭を抱えておるのです(原盤がフィルムならこれが可能になるのです。
アニメの『ふしぎの海のナディア』とかね)。
ストーンズライヴは、古かったのが幸いしたワケですよ。

そういう画質の良さも含めて、ライブフィルムが、もし
「ライブ会場の疑似体験」をするものだとしたら、今後もっと映画館での上映は
増えてしかるべき、と思っています。実は家庭のTVで観るもんではないかもしれない。
音響も全く違いますしね。現に浜崎あゆみとかMay’nとかかな、ちらほら出始めてはいますが。

昔、小生はよく仕事でスポーツ中継のパブリックビューイングに関わりまして、
それで来たお客さん達も非常に盛り上がっていた体験からしますと……
例えばプラチナチケットだったライブとか、野球は日本シリーズとか、サッカーなら代表選とか、
本来はそういうのも、映画館で同時中継してやってもいいんじゃないか、と観てて思いましたね。

ライブフィルムを映画館でやるメリットは、結構ある気がしました。
そんな可能性に気付かされた1本です。
曲はあんま有名なのがなくて、わかんないのが多かったんですがw
ニューアルバムメインのライヴだったんでしょう。

 

Facebook Twitter More...
Comments

No comments yet.

Leave a comment