大東映謹製の『探偵はBARにいる』を観ろ


今日の午後、友人K君から絶賛の感想を聞いて、いてもたってもおられず、
残業も早々にやめてレイトショーに駆け込んだ映画、『探偵はBARにいる』に……

ボカぁ、本当に驚愕しました!

この平成の御代もすでに23年でありますが、あえて今は昭和86年と言いたいぐらい、
これはどこからどこまでも、完全な「三角マーク映画」、即ち、
あのボクの好きな「昭和の大東映カラー」だったのであります!

そりゃ確かに、大泉洋が主演で、大東映はテロ朝との絡みもありますから
HTBが製作委員会に入ってますが、これは断じて「テロ朝映画」ではありません。

実は僕は「どうでしょう」臭プンプンになることを懸念していたのですが、
いや、白状すると、そういう映画かと思って今まで行ってなかったのですが、
そんな心配は杞憂でした。

OPは波シブキ三角マークだけでスタート! テロ朝ロゴなし! 以上!
かつ、監督と、共同脚本兼務のプロデューサーが、東映の社員ですよ。
今の映画界で、ありえねぇですよ、こんなこと。
 

で、中身は、完全な大東映作品の王道要素ばかり!!

悪人はとことん悪人です。クセ面ばかりです。
主人公たちはマヌケでもカッコイイのであります。
つまり「キャラ立ち」がすごい。

世が世なら、キモッチ悪い悪役の高嶋政伸には「(東宝)」、
丹波哲郎を彷彿とさせるハッタリの効いた西田敏行には「(特別出演)」と
スタッフロールに付けてほしかったぐらい!
片桐竜次や石橋蓮司の出演にも、OLD東映ファンとしては涙。

そして「痛みがもろに伝わる」アクションシーンがあります。
入れる必要もないのに、何かしらのコメディチックなシーンもあります。
カメラワーク、照明、王道です。キッチリしてます。
ジャジーな劇伴にカルメン・マキで主題歌。下手なタイアップを組みません。
 

美しい……(ウットリ)
これが、日本の! 大東映の! 映画だよ!
途中少々中だるみますが、ラストが本当に効いている。
 

映画としての構造が、過日観て(もう正直に言いますが)「なんだよ、この映画!」だった
『モテキ』の真逆なんですよ。

K君の言葉を借りますが、
「携帯と固定電話。東京と地方。リアルとアンリアル。ソフトボイルドとハードボイルド。」

全部、逆。

しかしいちいち、そのファンタジー感が、とても映画臭くていいのです。
特撮を駆使したリアル話が、ローテクファンタジーに完成度では完敗というね。
興味深いじゃないですか。

かつ、あちらは前半戦をまぁまぁで来たのに、いきなり失速して、
ラストはグズグズの極みだったんですが……
こっちのクライマックスには、やられましたね。
これが映画的カタルシスでなければ、何なのであろう? というぐらい、解ってる。
 

とにかく、往年の大東映映画が「なんか野蛮でイヤだわ~」という向きにも、
この作品はぜひ観て頂きたい。そして、日本映画は「テレビの拡大版」じゃねぇんだ、と
いうことを、キッチリ認識していただきたいのであります。
 

このオリジナル企画が、全国ロードショーになっている、しかも当たっているということは、
非常に僕らに希望を抱かせる話なのですよ!
 

で、あちこちで語られていることですが、バディムービーとしての構造は、
共通スタッフが多い『相棒』よりも、むしろ『ルパン三世』に似ています。

ズッコケ三枚目ながら、決めるところは確実に決めるルパン=大泉と、
クールに傍観しながら、ピンチには本当に頼りになる次元=松田。

大泉洋は、そもそも大衆寄りの器用な役者ですが、松田龍平は、今回、
「こっち(娯楽)側」に来たことが、明らかにプラスになっていると思いますね。

なんだか小難しいミニシアター系の役者、だった感じが、
一気に存在が身近になった。かつ、恐ろしくアクションが切れるのですよ。
これはミニシアター系の映画では知りえないことなんで!

龍平キック(K君命名)の鋭さは、半端ないのです。
 

……で、本当に今の今まで忘れていたのですが、松田龍平という俳優が
誰のDNAを継いだ者であるのか、あらためて気がついてしまい、
そうなるともう、意識せざるをえないのですよ。

血というのは、本当にすごい。

ぜひこのまま、親父が『遊戯』『金狼』『探偵物語』などで村川透と組んで歩んだ道を、
彼にも進んでほしいと思わずにはおられませんナ。

そう思うとこの映画、正しく『探偵物語』(角川映画ではない方)の
後継のような気もしてくるから、不思議。
北海道が舞台の大東映プログラムピクチャーとしては、『網走番外地』の後継でもありますよ。
 

で! 早くもパート2の予告がケツについていましたが
(最近のオリジナル邦画では異例中の異例。僕も最後に見たのは
確か東宝の『学校の怪談』だったので、10年以上見ていませんでした)
嗚呼! 清く正しい大東映プログラムピクチャー復活の狼煙を! と、
祈らずにはおられないのです。

 

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