面白くやがて悲しき『スーパー!』かな

ポン友の映画監督に勧められて、都内でも渋谷シアターNに新宿武蔵野館、という
「なんでホームシアター程度のくせに1800円とるワケ!?」な小屋でしかやっていない
公開規模の映画、『スーパー!』を観てきました。新宿の方で。

http://www.finefilms.co.jp/super/
(音出ます注意)
 

ダメ男の主人公が、何の力もないのにコスチューム着てヒーロー稼業をおっぱじめる、
そこに相棒の少女が絡んできて……という物語構造は、気持ち悪いほど
あの『キック・アス』に似ています。

が、この映画の方が、断然良かった。
僕に言わせれば『キック・アス』の100倍出来はいいですね。
ラストシーンやセリフの持つ含蓄含め、「映画として」上。
 

1年弱前にはキック・アスを推薦しまくっていたサブカル人たちが、
今一斉に手の平返しているのも、十分うなずけます。 
 

かつて僕が『キック・アス』を観た時の印象は
「あぁ、こりゃいかにも、『映画秘宝』(※雑誌名。及びそのライターや熱烈な読者)ウケする映画やね」でした。

モノ悲しくバイオレンスがキツイ、原作の異色アメコミを映画化する中で、
際立っちゃったのは、結局、「自演ヒーローの抱く悲哀」ではなく、
「すっげぇ少女がバッサバサ敵を殺す」カタルシスに過ぎなかったような気がしたんですよ。
 
それが「映画秘宝ウケ」と僕が言う所以、根拠でして。
(ナンノコッチャ?な方は、いっぺんあの雑誌を立ち読みしてもらえれば納得できるかと)

つまるところ『キック・アス』は、本質では『キル・ビル』と同じような作品になっちゃってて、
かといってタランティーノのような独自色も面白さもないから、僕は正直、あの映画は「?」だったんすよ。

もんのすごく釈然としなかったし、なんでこんなにウケんのかなーと。

みんな、あれを褒めないと「映画わかってない」とか言われそうだから、
褒めてただけちゃうんか、と。ラストの取って付けたようなハッピーエンドと、
いかにも続編作りますな終わり方(これは原作のママ)も、なんかスッキリしなかった。

少女が人殺しまくるのがすごい残虐復讐譚だから『キック・アス』はオモシロイ、のであれば、
それはただの「ジャンル映画」なんですね。
 

で、翻ってこの『スーパー!』なんすが、ラストがもう、深い。
『キック・アス』のように一筋縄にはいかないのでありますよ。

あちら同様、いや、それ以上に残酷かつリアルな描写でもって
クライマックスの「悪の軍団」との殺し合いが進むのですが、
そこにカタルシスは、全くないんですよ。
むしろ痛みがビシビシ来る方の残虐描写。
 

そして「あんなラスト」で主人公や相棒の少女に
果たして救いはあったのか? なかったのか?
それは観客に投げられるし、考えることになるんですね。

「考えさせるラスト」。これもまた、ハッピーエンドとは別の、
映画ならではの醍醐味と言えます。
 

この映画は、アメコミや一連のヒーローものの、もちろん一種のパロディーだし、
OPなんかアニメだし、いわゆる「主人公がデブで情けない中年で、すごくカッコ悪い」、
その上「ヒーローになって、やっぱりキチガイじみている」という描写が中盤までは頻発するので、
コメディ映画だと思ってる客もいたのでしょうな。

だから途中までは館内、「俺様ちゃんってば、バカ映画やコメディをわかってるもんね~」な、
お前はシットコムの笑い屋かよ! な派手な笑い声を出す御仁も、結構おりました。
 

ところが、ラストになったら、館内全員、押し黙ってしまったのですよ。
「さすがにこれはコメディ映画ではない」ことに、皆気がついたからです!
そこは新宿。シネマリテラシーが高い客たちだった、と言えましょう。
渋谷では、最後まで笑いっぱなしの客もいたそうですから。
 

けどね、このラスト観ながら映画館で笑えるなら、それはかなりどうかしていますよ。
「面白いのだが、やがて悲しき」という言い方がピッタリ。
 
 

二番煎じどころか完璧に『キック・アス』を超越したこの『スーパー!』は、
オススメであります。

もう少しちゃんとした規模で公開されてりゃアねぇ~。

 

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