『桃太郎 海の神兵』

日本初の劇場長編アニメと言われる『桃太郎 海の神兵』(1945)も観た。
 
動画史的には、絶対に避けて通れないこの作品……なのだが、恥ずかしながら今まで鑑賞の機会がなく、たまたま『FAKE』同じ小屋でやってたんで、こりゃいいや! でついでに鑑賞、だったのであった。 
 
有名な朝日のマニア記者・小原氏もかつて言及しているので、内容説明はこの記事に譲るが、まぁ……何を読むより観たほうがイイのは言うまでもない。

公開当時のニュープリント状態に限りなく戻された本作は、戦中の日本でこのレベルのフルアニメが作れたのかという驚異的な技術力もさることながら、「ガチな戦争映画」として捉えると、本当に興味深い。 

なんたって桃太郎隊長と動物部隊が、白人鬼ヶ島(ポパイやブルータスもいる)にパラシュートアタックかける映画ですから。偏執狂的な兵器&飛行機描写は、冗談抜きでガルパンも目ではない。アッサリと「戦死」という単語が出る分、そして70年以上前という要素をかければ、こちらが勝る。
 
劇場サイトの解説文通り、瀬尾監督に「平和への願いがあった」のかは、思うに怪しい。「このご時世にこんな大きな仕事下さるなら、何でも!」というところだろう。確かに時折入る牧歌的なムード描写や情緒あるインサートは秀逸だが、前述のとおり、超ガチな国策映画・戦争映画なので、そこは、ラストシーンに長々と息子を取られる母の悲しさを織り込んで、映画界を去るキッカケになってしまった木下恵介の『陸軍』とは、全く違うと言わざるを得ない。 
 
ただ、四の五のその背景を思うのは、野暮かもしれぬ。終戦の年にもう国産長編アニメが存在していて、このクオリティを叩き出していた、ということは、観て・知っておいて損はない。これもまた、登戸研究所資料館同様の「生きている戦争資料(史料)」である。

 

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