『FAKE』

……ネタバレ注意作品なので詳しくは避けるが、『FAKE』は傑作であった。いや、傑作というよりは「語りたくなる」作品と言うのが正しいか。
 
僕は被写体の佐村河内守ではなく、監督たる森達也という人の攻撃性というか、ドキュメンタリストの持つ業、みたいなのにやられた。
 
発端の文春砲記事を書いたライターも、新垣隆も、この映画の取材からは逃げる、逃げまくる……のは、本能的に森達也の怖さを知ってるからに違いない。同じリングに上がりたくないのだ。結果的には彼らはヒールにされるのだが、それはまたこの作中で佐村河内の行動が招いていた姿でもあり、森達也がお礼参りしてるようにも、見える。
 
かつての原一男作品のようなものも感じたが、ハンディカメラが発達して画質、音質ともに向上していることが(この映画では文字通り「音」の持つ意味もすごい)、コストがかかったフィルム時代や画質の悪かった前時代ビデオのドキュメンタリー映画よりは、異質な切り取り方を可能にもしている。
 
正直、今回予告で飽きるほど観た(予告編の数が多すぎる)どんなアウトロー劇映画、バイオレンス劇映画よりも、この地味な作品の方が、100倍も破壊力には満ちているだろう。上っ面な暴力フィクションを凌ぐものは、実際の人間の「心の闇」だ。

 

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