講演 「『ルパン三世』とその世界」

ものすごくレアな機会だった。

メディア露出すら少ない、漫画家モンキー・パンチ氏とその代表作『ルパン三世』の初期演出を担当した、おおすみ正秋氏らの講演が、江東区の某所であった。パネラー全員、アラエイティー!(と言うのかどうかは知らないが……)何とか潜り込めた。「リビングレジェンドの話を聞くのが生きがい」の身としては堪らなかった。
 

今回も……新しいものの上っ面を追いかけるのもいいんだが、先達の言葉ってのは、勉強のためにも聞かなきゃダメだと思った次第。

最後の「次世代への言葉」は、ハッとしたから、書いておく。自分は若くはないが、これは若い人は考えてみてもいい内容であったかと。
 
70代・80代の「歴史を作った」人のメッセージは、受け止めてみるのがよい。そこには回顧以外に反省もあり、恨み事もあるが、本当に真に迫っている。 

 

(以下メモより。意訳)

※モンキー・パンチ氏(1937年生まれ。言わずと知れた『ルパン三世』作者。連載終了後、CG作画を業界でも先んじて学び実践した、氏だったが……)

「これからどういう技術が出てくるのかは、想像もつかないですよね。ヴァーチャルでも3Dでも……それ以上でもね。それに合った作品も出てくるんだろうし。」

「けど、あんまりそういうものにとらわれないで、昔からある漫画の作り方を……僕は今コンピューターで(作画を)やってるけど、無性に『白い原稿用紙』を前に『ペンで』絵を描きたい。そういう思いでいっぱいですね。」

「若い人には新しいものに惑わされず、昔からのものに目を向けてもらえれば『また違うもの』ができると思ってます。」
  
 

※おおすみ正秋氏(1934年生まれ。アニメ版『ルパン三世』企画書作成からパイロット版~PART1初期演出家)

「僕が、視聴率が悪くてこんな目に遭っちゃった(注※大人向け路線のルパン三世PART1は、放映当初低視聴率にあえぎ、おおすみ氏は番組から降ろされる。演出は高畑・宮崎コンビが継いだ)なんてことを、今の若い人は知らない。だから会社の中で『古い(PART1初期)ルパンを踏襲したい』ということを、ぬけぬけと言えるようになっちゃった訳です。」

「そこで若いクリエイターが話を聞きに来たりするけど、違和感を感じる。あれの何を踏襲したいのかと問えば、『オシャレっぽさや尖った感じ』だという。自分があの作品で『説明不足(省略演出法)』を使ったのは……それは本来は、下手くそな監督がやることなんですよ……やるなら『意外性』につながらなくちゃいけない。そういう(旧来のアニメにない)表現は全部やったつもりだけど、視聴率が低けりゃそれは全部否定される。」
 

「けど、2回3回と再放送をして……再放送の記録になるぐらいの視聴率取ったんじゃない? ところが会社や局や代理店はメンツがありますから、子供路線から戻せなくなっちゃった。そのまんま終わるのかと思ったら、最近になって深夜アニメが主流になって時代が変わったから、『旧ルパンがイイ』みたいなことになって。」
 

「最初のルパンは表現が尖ってるんじゃなくて、あの頃、僕は『時代の空気』ってのを踏まえてやろうとしたワケですよ。今、それ(時代を捉える)ことがないと、『表面的な』オシャレで尖って、なんてのは……ない。」

「『ルパン三世』がまだ生き残ってる、ってことはね、あの時代の『しらけ』の空気が、40年たってもまだ残ってるってことですよ。若い人の孤独感なんてのはもっと厳しくなってるし。いろんなことが見えなくなって不安を抱えてる訳ですから。……あの頃と同じように『時代を掴み直して』いけば……」。
 

「ルパンを新たに作るってのは、やはり『新作を作る気』にならないと。またこの素材は、それができるはずですから。まだ『古典の殿堂』に入れちゃうのは早いんじゃないかと思いますね。」

 

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