ぎゃんぶらぁ立川談春

僕は落語もずいぶん聞きます。
小学校の図書館で、子供向けの落語全集のギャグに馬鹿笑いしたのが
キッカケですが(その頃、図書館に「笑える本」というのはそんなになかった)、
ほぼほぼ同時期、オヤジに連れられて観に行った、ドサ回りの三遊亭円楽(先代)に、
猛烈なショックを受けたのでした。

円楽が、笑点に出てる人だというのは知ってました。
生まれて初めてナマで見た芸能人だと思います。
しかし円楽は「ここだから言いますが、笑点なんてのはね、ありゃ下らないんですよ。
♪スッチャラスチャラカ スッチャンチャン なんて・・・」と言って捨て、
堂々と大ネタ『鼠穴』を演じたのです。

初めての落語鑑賞が、いきなり落語の真髄に触れちゃった。
世のお父さん方! 「子どもが最初にいきなりホンモノに触れる」ことは、かくも大事です!
円楽も偉かった。よくない人気落語家ってのは、地方に来ると決まって漫談とか
『時そば』みたいな田舎者をナメたネタをかまして、手抜きをしやがりますが、
(小朝、木久扇、花録、昇太なんかがそう)円楽は、違いましたね。

前置きが長くなりましたが、あの落語の天皇・立川談志の弟子の中でも、
今一番キレキレだと言われているのが、立川談春です。
実際、最も人気でチケットがとれない落語家なんだそうです。東京では。
ですから僕も、ついぞ聞いたことはなかったんですよ。

そんな中でファンタジーばかりが膨らんでいました。
異常な競艇狂いと聞きますし、自伝「赤めだか」を読むに、とてもじゃないけど
真人間じゃない。むしろ狂ってる。いや、談志の弟子は狂ってないと
つとまらないのかもしれませんが、それにしても狂気。

そして、僕の知人の落語ファン(いわゆるギョーカイの人)曰くですよ。
「談春は自分がうまいと思って見せつけてくる! 大嫌い!!」
・・・ところが、それ言ってた人が、次に話聞いたタイミングでは、
もう談春と飲み友達になっちゃってる。意気投合しちゃってる。

頭の中は「?」でイッパイでありました。

これは自分の目で確かめるしかない・・・
さぁ、そうしたら来ましたよ、まさかのドサ回りが。
発売初日に2列目の券を購入し、数カ月待ち構えておりました。

聞いて、ビックリしました。
その通り、どんなメチャクチャな芸風だろうと思っていたのです。
ところが、高座が礼儀正しいなんてもんじゃない。
田舎の客をナメてない。マクラ(落語の本題の前の漫談)に毒舌が少ない。
「ホントに談志の後継者と言われる人なのか?」と。

意外でした。
私生活は知りません。本当にメチャクチャなのかもわかんない。
ところが、芸風は驚くほど綺麗でした。
伝え聞いた「うまいところを見せつける」そぶりも全然なかった。
滑稽話の『粗忽の使者』と、人情話で兄弟子・志の輔の得意ネタでもある『紺屋高尾』を
キッチリかけていきました。

立川流の弟子では、立川志の輔が一番うまいのは誰もが認めるところ。
師匠から演技力とダミ声を受け継いだ(?)志の輔の泣かせ芸には、誰もかないません。
ただ、「滑稽話」になると、なんか談春が勝る気がします。
スカッと笑いを取ることができる。天賦の才、というのは陳腐ですが、そういうムードがありました。

毒が少ないとは言っても、マクラは自虐ネタで聞かせました。
北東北の風景をさんざん褒めておいて「そして・・・競馬場があるじゃないですか」と畳むおかしさ。
ギャンブルつながりで、誰もよくは知らなかった野球賭博のウンチクをさんざん語る面白さ。

勝ち負けを当てるとか、そんな甘いシステムではないそうで。
ハンデシステムの解説を一気にたたみかけて、
「琴光喜ごときに理解できるワケがないんです」で、場内大爆笑。
「この話は月亭可朝師匠に聞きました」で、またもドッカンドッカン。
(わからない方は「月亭可朝 野球賭博」でググってちょう)

大したものだなぁ、立川談春・・・
「上手い」と思える落語家にまた巡りあえて、大変ようございました。

 

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