※本当のルンペンのことではありません。
1年ほど前から参加させてもらっている、崇高なるレジャーこと「乞食ツアー」。
合言葉は「ゴミの中に宝がある!」
これは、クルマでもってハードオフ・ソフトオフに生活創庫、個人リサイクルショップなどを攻めまくり、
主にDJ陣はレコを、小生は映像ソフトや珍グッズを、あとは全員で昭和雑貨などを漁る、
エクストリームな休日の過ごし方なのである。
さて、今回は某氏のたってのお誘いを受け、ツアーの始祖・某君ともども、
未開の地、東京都西部地区は青梅線沿線に乗り込んだのであった。
「電車のドア、ボタンで開けるんスか?」
「ローカル線みたいなもんだからねぇ」
駅で某氏の車と合流。
で、最初のハードオフ、羽村店に突入したのだが、ここでもう面食らってしまう。
その後ハードオフは、立川などのべ3店(1軒につき2時間弱ずつぐらい所用)を回ったが、
どこも同じ有様であった。
何がすごいのか。
普段、我々の行動圏内は主に埼玉、それも都市部であったのだが、
なんというか、物量が違うのである。
「ジャンク」コーナーが都市部店舗の軽く3倍はある。
そもそも売り物になってるんだかなってないんだか、おそらく夜逃げとか、
コレクターが死んだとか、家の取り壊しとかで「そのまま」打ち捨てられたような
レコード・CDが、どの店にもプラケース数十個分あるのだ。
本当に「ジャンク」なのである。
「このへん、伝染病とか放射能で大量死でもあったの?」と我々は言い合った。
レコードで言えば、盤のコンディションなどは一切考慮されていない。
カビも歪みも一緒くた。メチャクチャである。
ジャケがない、逆にジャケだけ(中身がない)など当たり前。
「紙ジャケならぬ『紙だけ』だね」。
LPにいたってはスーパーのカゴに「詰め放題」状態。それで1000円である。
我々はそれをわぁーっと漁るのだが、しかし見ても見ても終わらない。
さだまさし、松山千春、トシちゃん&マッチ地獄だけは、
どの店にもあるのが不思議であるが。そのゾーンはうまく避けねばならない。
「みんな買って、みんないらなくなったんですなぁ」
なので、もう最初の店以外は流し見状態にせざるを得なかった。
それでも夜になってしまったが。
「モノに酔う」という感覚、お解りであろうか。
想像以上の物量に、気が遠くなるのである。
しかし、気を抜くと引き出すケースの重さにやられる(本気で重い)。
立つ、しゃがむ、引き出す、持ち上げる。集中する。
過激なウェイトトレに近い。
現に一晩あけた現在、小生は背筋痛を発症している。
そんな有様なので、仕入れる物量も半端ない(特にDJ陣は)。
「これどうなの?」
「あ、それはイイすよ。買うべきです。ピッチ上げれば◯◯に繋げられるし」
「なるほど。××系なのね」
「これは?」
「全然ダメ。こいつだとセカンドの△△しか使えないっす」
彼らの頭は音楽のデータベースである(それも珍品)。
聞いているだけで面白い。
何しろ買うのはゴミなので、ほぼタダ同然。
小生は、PSソフト(PS1のソフトはPS3で走る)の
「ナムコミュージアム」(昔のアーケードゲームの詰め合わせですね)を
300円で入手。相場は600円ぐらいかな。
多分、ケースと説明書の状態が悪いだけでジャンクに回された品だ。
「ちょうど探してたんだ。よかったな……」
万事がこの調子なので、勢い量は増えるのであり……
途中、コジャレた造り酒屋での贅沢な昼食時(使った金銭は、メシ代の方がよほど高かったという)、
なぜかそこに「ご自由にお持ちください」コーナーがあり、
当然我々は目ざとく確認するのだが、「アバター」のパンフ(ナゼに?)などと一緒に、
ここで巨大なナイロンバッグを入手できたことは、後に幸運となった。
なぜなら、最終的に某君が発した言葉は
「レコードなんて、もう見たくねぇです!」
つまり、わんこそばをやってしまったために、当分蕎麦を食いたくなくなる状態。
15~20キロにはなんなんとするそれらは、
ナイロンバッグが入手できていなかったら、持ち帰るにも難儀。
電車内にぶちまける羽目になったであろう。
DJにそれを言わせる。それが、乞食ツアー。
なお、マニア垂涎の「大した中古レコ屋」(ちなみにここも昭島駅だか拝島駅だかから
遥か彼方にあり、車がなければ行くのは困難)にも案内してもらったのだが、ついつい某君からは
「ジャンル別、五十音順に並んでるレコ屋って、すごいっすね……」という感想が飛び出したほどである。
かくして過激なツアーは終わり、日も暮れる頃、某氏と別れて我々は帰途についたが、
「いやぁ……変な言い方ですが……自分のクルマじゃない『乞食』って、初めてなんで……
大変スね……もう12時間経過っすよ……」という某君の言葉が、全てを象徴していた気がする。
そして現在、小生は寝床で年齢の壁と戦っているのだが
(全身が痛い。若いころとは違う。
野球選手が自分ぐらいの年齢で引退する理由がわかった)、
おそらく、今後も乞食ツアーは延々と続けることになるのであろう。
なぜなら、これは「そういう作業を前から好きで個々人でしていた」者達が、
たまたま徒党を組んで効率よく? やることにしたという話であるからだ。
目的の一致、というやつだ。
「けど、俺らが死んでもさぁ、全部レコとか本は捨てられるか、
ああいうとことかに回されんでしょうね。」
「そうだべな……遺言ぐらい書いとくべきか……けど、それが輪廻というもんさねぇ。」
小生もレコこそないが、ディスクの枚数とか、考えたくもない。ま、考えないことにする。
死んだらそれまで、である。
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