昭和87年のギャバン

正直言って、あんなに愉快だったのに、どうして今日の今日まで
リポを書けなかったのか不思議だが、余韻をかみしめていたのかも、わからん。
 

リアル昭和ボンクラたちが、あらゆる東映特撮の中でも特に愛したヒーロー。
それが、宇宙刑事ギャバンである。

幼稚園児の俺は、塀の上から、あの両手を広げて片足を曲げる
ポーズで飛び降り、遊んでいた。
ポピーのドルギランをもってるダチが、羨ましくてならなかった。
そいつは触らせてもくれなかった!
なんでそーゆーことは忘れないのかw

そして、決してイケメンではないのに「チョーカッコイイ」としか言えない
大葉健二の、「変身前なのに完全にどうかしてる」ハードアクションは
いかなるヒーローの変身前よりもキツーーく脳裏に叩きこまれ、
幼少時の重要なトラウマになったのであった。

そして昨冬。ゴーカイジャー映画で、まさかの復活を果たした
ギャバン&大葉健二は、当然我々昭和者を狂喜させたが、
更に朗報は来たのであった。
 

まさかまさかの、ピン映画公開の報。
しかもホンを書いたのが、我が知人であるところの小林雄次氏という福音!

「とんでもない話だよ! これは!」
「ヤバい……。こりゃ、お招きしてオフ会、やらいでか!」

公園で弁当を食いながら、またある時はジンギスカン屋で、
またある時は焼肉屋で、オフ会への密談が重ねられた。
食ってばかりだが、そういう方が話はまとまるものである。
 

そんなこんなで、月日は電光石火の早さで過ぎて、秋。
宇宙犯罪組織マクーのごとく暗躍したかいがあって、映画公開1週間後に、
脚本家の小林雄次氏と、やはり脚本家で実弟の小林英造氏を招き、
「昭和者ギャバン会」が、見事に開催されたのである。

その場に集えし、少年の瞳をした面子の何というピュアだったことか!
同じ話題で、盛り上がる盛り上がる。
あのシーンはどうだ、このシーンはこうだ。あれはどうだったんスか、
あれは何のオマージュ? バックヤードは?
酒も料理も、話を肴に進む。

ある方が、なんと、幼少期の写真を持ってきていた。
ギャバンショーでのスナップ! 足、短けぇ!w 
サイン色紙!……泣ける!! 

……あぁ、特撮ヒーローというものは、我々の血である、肉である。
 

今回の映画で、大葉健二は事実上、二代目(石垣佑磨)に
ギャバンを禅譲しなければならなかった。
しかし、アメコミ映画や007のようにリボーンとかリバースな実写化が、
なかなか困難なニッポン特撮ヒーローにおいては、これは必然なのである。

そうしてヒーローは生きながらえる。何しろ、世界観はつながっているのだから。
なんと西沢利明(コム長官)も出てくるし。……あぁ、返す返すも叶和貴子もいれば!ww

しかし、これはチョー珍しい例でもある。
小林氏も、様々な制約の中で最も苦労したのはそこだ、と話してくれた。
結果、「多分TVでの子供向けOAでは無理な」ある熱いシーンを織り込むことで、
二代目への禅譲は見事完成し、「ダブル蒸着」シーンは、昭和ボンクラどもを見事にブルらせた

「説明しよう。宇宙刑事ギャバンが……」の、あの名ナレーションにガチで泣いたね、俺は。
数々の「お約束」を踏まえながら、初代と二代目のギャバンは揃い踏みし、
また新たな次元を開いた。同じく二代目になったシャリバン、シャイダーも出てきたので、
宇宙刑事ワールドが再び広がるのを、我々昭和者は楽しみにしたい。
 

話は戻るが、まぁ、実に奇跡的なオフ会だったと思う。
よく噺家さんが言う「客のレベルが高い」とは、こういうことだ。
もっとも、ガキ時分にヒーローにキチンと教育されてれば、レベルが低いワケがないのである。

皆、職種もバラバラで……やたらこぞって忙しい、つう点でのみ共通しているのだが、
それがビシッと、この日この時この場所に揃った、という意味でも凄かった。

当日、映画館に滑りこんでから、駆けつけてくれた某君。
「いやー、映画観ながら『コレ書いた人と飲むのか』って思うとヤバかった」と
真顔で話してくれた。幹事冥利に尽きる。

ファンというのは所詮ファンではある。だが、時として作り手へのリスペクトが、
素晴らしい共犯関係を生む。
そんな某君が繰り出した、ある飛び道具は、あの場の参加者だけが聞きえた
とっておきのネタだったことは、特筆しておこう。
 

今回、小林雄次氏がギャバン映画のホンを手がけた、ということは、
ますますもって「いよいよ俺らの時代が来たぞ」ということを確信させた。
この作品はサブカルではあるが、同時にメインストリームな作品でも、ある。
30代40代のクリエイター達は、今後10年で何を仕掛けていくのか。
当然、我々同世代のファンも応援していかねばなるまい。
最初のスター・ウォーズの時のルーカスも確か32か3だ。期待しよう。
 

さて……偏見丸出しで言えば、ディープな特撮マニアというのは、
少々アレな方が多いのである。
今回の映画に関しても、賛否両論を見聞する。フザケンナヨとは思うが。
「オメェラなぁ……好き勝手言って! いいかげんにしろよこの野郎!!」で。
しかし、そんな俺の気持ちを、ある業界関係者が、代弁してくれた。

「新作がいらないんなら、永遠に昔のDVD観てればいいんですよ。
今の世代には今の世代のヒーローが必要なんだし。
けど、そういう(厄介な)人ほど、新作作られないと新作が欲しいとか言う。
新作作られると旧作の方が良かったとか言う。バカですね」

……我が意を得たり。

俺らは確かに、昭和のブツはチョー好きだし、大リスペクトしている。
だからこそ、そんなコンテンツをまさかまさかで現代に蘇らせてくれたことと、
表舞台から離れていた大葉健二を引っ張りだしてまで、キッチリ次世代に
ヒーローのバトンをつないでくれたことは、感謝せねばならない。

そういう意味では、今回はその志を同じくする、
古きを愛し、新しきをまたよしとする、「魂の昭和ファン」の集まり、であった。

最後は大サイン会になって盛り上がり、お開きと相成った。
世の中は捨てたもんではない。
 

「俺もお前も名もない花を踏みつけられない男になる。
その修業としての今日であり、明日である……」
(杉作J太郎『ボンクラ映画魂』 大葉健二の項より)

 

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